酸いも甘いも

しばらく前のこと。
 
うちのじいさんの米寿のお祝いをささやかながらしました。
寿司を準備して持っていき、ばあさんがぜんざいを作って待っていたのです。
ほかにもお菓子がたくさん出たので、結局ぜんざいには誰も手を付けず、もらって帰ることに。
甘党かつあんこ好きな僕としては、明日に楽しみをとっておいたわけで、ワクワクしながら床についたのです。
 
明日の朝食はぜんざいだ〜♪
 
そして運命の朝。
はやる気持ちを抑えながら食事を終え、お待ちかねのデザートタイム。
ぜんざいをよそって温め、いざ一口。
 
 
………
 
 
あれ?
 
 
………酸っぱい?
 
 
そう。酸っぱいんです。
気分的にはレモン50個分のビタミンC。
って、別にうれしくないよ。
 
しかし、これは一体………?
 
まぁ、酸っぱいことに疑いはないが、なぜ酸っぱいのか?
ひょっとしてアレかな。歳をとると味覚が鈍るってヤツ。最近のばあさんの料理は妙にしょっぱかったりするから、たぶんそれだ。そうに違いない。
 
さて。
で、コレどうするよ。
美味しくないから捨てる?
それはアカンな。失礼だよ。
やっぱここは酸っぱさをこらえて食べるべきか。よし、食べよう。
頑張れ。頑張れ、自分。
 
で、結局ぜんざい一杯完食。体が柔らかくなったような気分にふけっていると、弟もあのぜんざいに手を出した。
酸っぱいと警告し、それでもばあさんを立てるために食べるのは自由だと言った。
弟は…食べました。
さすが我が弟。優しいな。
 
弟と妙な連帯感に浸っていたら、両親がやってきた。
そこで、ぜんざいが酸っぱいことと、その原因(推測)を伝えた。
それを聞いて母曰く、
「腐ってるんだよ」
 
…えぇぇ!何ですと!
意外な攻撃に大ショック。母のせりふがエコーする。
(腐ってるんだよ、腐ってるんだよ、腐ってるんだよ…)
そんな事が…やられた。
食べちゃいました。腐ったぜんざい。
あ〜あ。
 
その日からしばらく、僕と弟は腹の調子が変だった。
 
よい子はまねしないでね。